
先日、大口通商店街で開催された「納涼夜店」に友人と出かけたときのこと。
にぎわう商店街を歩いていると、「亀」がついたキャップをかぶり、チラシを配っている男性が目に留まりました。
気になって話を聞いてみると、横浜市立浦島小学校の校庭にある「かめの子すべり台」を修復し、もう一度子どもたちが遊べるようにするプロジェクトの告知活動で、この日は3人で来ているとのこと。
私の子どもは浦島小学校の卒業生ではありませんが、サッカーの練習試合などで何度か学校を訪れたことがあります。
そして、あの大きな「亀」のすべり台も、もちろん覚えていました。
誰が、どんな思いでこの活動をしているんだろう。
本業の仕事をしながら、どうやってこれほど大きなプロジェクトを動かしているんだろう。
クラウドファンディングにも挑戦すると聞き、後日、活動の中心メンバーが集まる定例会にお邪魔して、お話を伺いました。
仕事を終え、夜の町内会館へ



定例会が開かれていたのは、神奈川図書館近くにある鳥越町内会館。
19時から始まったミーティングでは、議事に沿ってこれまでの活動報告や今後の予定、寄付募集についての相談などが次々と進められていきます。
話し合いが終わったのは21時過ぎ。
集まっている皆さんには、それぞれ本業があります。
仕事を終えたあとに集まり、母校に残るひとつのすべり台のために、こうした話し合いを重ねています。
活動の中心となっているのは、浦島小学校の卒業生や、元PTAの皆さんです。
始まりは、同級生の飲み会

この活動が生まれたきっかけについて、メンバーの西森さんに教えていただきました。
始まりは、なんと同級生同士の飲み会。
以前から「かめの子すべり台」のことは話題に上がっていたそうですが、卒業生の齊藤正志さんが自身のお子さんを浦島小学校に通わせるようになり、思い出のすべり台が使えなくなっていることを知ります。
そして齊藤さんが令和6年度(2024年)にPTA会長になったタイミングで、
「今なら動ける」
と、復活に向けた話が本格的に動き始めました。
最初に動いたのは齊藤さんと、同級生で一級建築士の石川勇士さん。
「何をどう直せば、もう一度滑れるようになるのか」。
専門的な視点も交えながら、修繕方法を調べるところから始まりました。
そこへ声をかけられたのが、同じく卒業生の西森さんです。
「あのすべり台が滑れないなんて」
そう思い、二つ返事で参加したといいます。
さらに、会計を担うメンバーとして、齊藤さんがPTA活動を通じて知り合った地域コーディネーターの須藤さんが加わり、まずは4人で月に一度ほど集まるようになりました。
何世代もの子どもたちを見てきた「かめ」



浦島小学校の校庭にある「かめの子すべり台」は、高さ約4メートル、縦横約12メートル。
大きな亀が校庭に伏せているような、浦島小学校のシンボルともいえる存在です。
その歴史は古く、1930年代に当時の子どもたちが「浦島太郎のように亀の背中に乗ってみたい」と考えたことから誕生したといいます。
子どもたち自身が土を運び、お小遣いを出し合って材料を買い、約1年をかけてつくり上げたもの。
それから長い年月、何世代もの「浦島っ子」が亀の上に登り、滑って遊んできました。
しかし、安全上の理由から2017年に立ち入り禁止になり、現在は使用することができません。
卒業生の思い出の中には今も残っている「かめ」ですが、現在の子どもたちはそこで遊ぶことができないのです。
4人から始まり、少しずつ仲間が増えていった

もちろん、「直そう」と決めただけで直せる規模ではありません。
専門家による調査を重ね、修繕に必要な費用を算出すると、その見積額は約1,600万円。
大きな金額です。
「クラウドファンディングをやろう」という話は出たものの、それぞれが仕事をしながら活動する中で、準備は簡単には進みませんでした。
ひとつの転機になったのが、昨年末に行われた「すべり台に登ろう会」。
イベントをPTAの皆さんにも手伝ってもらったことをきっかけに、齊藤さんの前任のPTA会長・山北さん、齊藤さんが会長時のPTA副会長・梅田さんもプロジェクトへ参加するようになりました。
さらに、齊藤さんの妻・ともえさんも主要メンバーとして加わります。
1989年卒の同級生同士の飲み会から始まった話が、PTAで生まれたつながりへ。
「かめ」を中心に、少しずつ仲間が増えてきました。
学区の町内会へ、一つひとつ足を運んで

プロジェクトを進めるうえで、メンバーが大切にしてきたのが、まず地域の皆さんに活動を知ってもらうことです。
浦島小学校の学区内にある各町内会にも一つひとつ足を運び、「なぜ、かめの子すべり台を復活させたいのか」「どのような修繕を考えているのか」と、活動の内容を丁寧に説明してきました。
学区内の企業や各戸にポスティングしたり、地域のお祭りに出向いてチラシを配ったり、募金活動をしたりするのも、その積み重ねのひとつ。
私が大口通商店街の「納涼夜店」で出会ったのも、そんな活動のひとコマでした。

約1,600万円という大きな目標に向かって、いきなり広く支援を呼びかけるのではなく、まずは足元の地域から。
顔を合わせ、直接言葉を交わしながら、少しずつ「かめの子すべり台をもう一度」という思いを広げています。
残すだけではなく、もう一度「遊べる」場所に




今回目指しているのは、昔の姿をただ保存することではありません。
現在の安全基準を満たし、子どもたちが実際に遊べるすべり台として復活させることです。
計画では、まず傷んで浮いているモルタルを剥がし、下地となる金属製の網「ラス網」を張って、その上から新たにモルタルで補修。
最後に「かめ」の塗装を施します。
安全性を確保しながら、再び子どもたちが遊べるようにする修繕を予定しています。(2027年夏休みに実施予定)
必要となる費用は約1,600万円。
決して小さな金額ではありませんが、クラウドファンディングが始まる前の段階で、少しずつ寄付が集まっているそうです。
次は、クラウドファンディングへ

そして、プロジェクトはいよいよ次の段階へ。
10月11日(日)に反町公園で開催予定の「神奈川区民まつり」に出店し、飲料販売とパネル展示でクラウドファンディングのスタートに向けて活動を広げていく予定です。
また、現在神奈川区民まつりで紹介する「かめの子すべり台とわたし」というテーマで思い出の写真やエピソードを募集しています。
詳しくはInstagram投稿をチェックしてみてください!
浦島小学校を卒業した人。
子どもが通っていた人。
地域で暮らし、昔からあの大きな亀を知っている人。
そして、これまで「かめの子すべり台」を知らなかった人にも。
かつて子どもたち自身の手から生まれ、何世代もの浦島っ子が遊んできた「かめ」。
今度は大人になった卒業生や、学校を通じて地域とつながってきた元PTAの皆さんが、その場所を次の子どもたちへつなごうとしています。
大口通商店街で偶然見かけた、かめのキャップと1枚のチラシ。
その向こうには、仕事を終えた夜に集まり、地域を一軒一軒回りながら、少しずつ前へ進めてきた人たちの活動がありました。
「昔、あそこで遊んだな」という方も、この活動を初めて知った方も。
まずは、どんな人たちが、どんな思いで「かめ」の復活を目指しているのか、知ってもらえたらと思います。
かめの子すべり台復活プロジェクト

「かめの子すべり台復活プロジェクト」では、すべり台の歴史やこれまでの活動、修繕計画などを公式ホームページで紹介しています。
クラウドファンディングについても、詳細が決まり次第お知らせされる予定です。
引き続き六角橋ナビでもご紹介していきますので、ぜひご注目ください!
横浜市立浦島小学校 「かめの子すべり台復活プロジェクト」
かめの子すべり台所在地:横浜市立浦島小学校校庭
住所:横浜市神奈川区浦島丘16
公式ホームページ:https://kamenokosuberidai.simdif.com/
Instagram:https://www.instagram.com/kamenokosuberidai/
LINEオープンチャット:「かめの子すべり台復活プロジェクト」

この記事を書いたひと
あっきー
神奈川区在住。
23歳の娘と21歳の息子、夫の4人暮らし。
おいしいものやたのしいことなどのオススメ情報をオススメするのが好きです。
2代目編集長🔰

