のろ猫です!
雨のふる街がまだ眠たげな日曜の朝 8 時

わたしがいるのは京急線「日ノ出町」駅。
車道にホームが斜めに交差する様子が、おなじみ「東白楽」駅に似ています。

トンネルを抜けるとすぐに駅、というのも趣があっていいのですが、六角橋エリアを飛び出してここまでやってきたのは、歩くためではありません。
わたしの連載記事にときどき登場する粘土猫「にゃん土」をつくられている円満尚平さんの護身術教室に参加させてもらうためなのです♪

円満さんは「にゃん土」作家であるだけでなく、大和(だいわ)流柔術の師範の資格を持つ武術家。
六角橋をこよなく愛し、ヤミ市には毎回参加されるという、
多芸で、飾らない人柄が魅力の楽しい方です♪

のろ猫がはじめてお会いしたのは、今年 6 月に六角橋商店街で行われたフリーマーケット「ととと市」。
店を出していたわたしが、ネコの写真集や、ネコの置物の写真集などを自分のブースに並べていたところ、おとなりの出店者としてやってきたのが円満さん。
この武闘家みたいな人、一体なにを売るつもりなんだろう…とみていると、
机いっぱいに「にゃん土」を並べはじめるではありませんか(笑)
突如出現したネコ濃度 MAX な一角で、わたしは、自分にそっくりの“お散歩するにゃん土”と巡り会い。
いまやこの連載に欠かせない、貴重な“分身”を与えてもらったのです♪

暑い夏が過ぎ、ようやく散歩に適した季節が来たかと思えば連日の雨。
正直、どんより気味です(笑)
今日はそんなのろ猫に力を授けてもらうためにも、ライターの永沢さんと一緒に、円満さんの「大和流円満塾」に参加。
ちょっと番外編的な、日曜朝の“お散歩”です♪
移りゆく季節への確かな目

駅から歩くこと3分、目的地の「横浜マッセレンタルスタジオ」に着きました。
階段をあがると、ドアには「大和流円満塾」の手書き看板!
「満」の字が、

「猫」にしか見えないのが素敵です(笑)
ドアを開けると

道着に身をつつんだ円満さん♪
おひさしぶりです!
…と、
もしやその腕のところにいるのは

にゃんこ!
そして…
にゃん土!

おわあああ♪
お散歩にゃん土の新作ではありませんか!
…実は今日、円満さんが早朝に行っている散歩にもご一緒させてもらう予定でした。
ところがあいにくの天気…
雨ばかりの 9 月を嘆くのろ猫に、円満さんが一言。
「ネコが膝に乗ってくる季節になったよね」
…た、たしかに!
雨に沈むあまり、この時期一番の風物が見えなくなっていました…。
「…もちろん膝に乗るといっても、犬とかは飼い主に甘えてというのがあるけど、
ネコのばあいは単純に

自分があったまりたいだけ
…でしょ?」

まちがいないす、師匠。
夏なんて一度も乗りませんから(笑)

ネコ愛 MAX な薫陶に、のっけから目をひらかされましたが、
本番はここからです。
まずは「大和拳」と呼ばれる「型」の練習を見せて頂くことに。

「大和拳」には表の型と、裏の型があり、目の前に相手をイメージしながら稽古するのが重要とのこと。
素人の目にわかることは少ないのですが、軽やかな動きは、まるで舞をみているかのようです。

こちらは塾頭の山森さん。
ふだんは大学で哲学を教えられている先生です。
円満さんとは互いに“一棚書店”の棚主の縁で知り合われたらしく、「ラインハルト哲学教室」という、街にひらかれた“考える場”もつくられているそうです。
様々な分野の人が集まってくるのも、「円満塾」ならではという感じですね♪
フィジカルの壁にぶつかり、大和流の道を決意
一休みのあいまに、ライターの永沢さんが円満さんにミニ・インタビュー。
興味深いお話を聞かせてもらいました。

「大和流柔術をはじめられたきっかけは何ですか?」

「大学時代トルコに留学したのですが、当時むこうではブルース・リーが流行っていたんです。同じアジア人だからか“ブルース・リーが来た”と騒がれました。
それを見て、武術をやればスターになれるかもしれない、と思ったんです(笑)」

「おお~(笑)」

「大阪にいる叔父が大和(だいわ)流柔術をやっていたのですが、当時住んでいた千葉から通うのはちょっと大変だなぁ、と。
地元で探してみると、忍者道場というのがあり、しばらくは忍者をやっていました」

「…忍者ですか?」

「やばいですよ、彼の忍術(笑)」


「忍術も脱力はあるんですが、どちらかというと格闘技に近いんです。社会人になり、仕事の関係で UAEの首都・アブダビに赴任になった時、そこで忍者道場をひらきました。
アブダビのやんごとなき人が習いに来たり、現地メディアに取り上げられたりと人気だったのですが、あるとき、身長が2メートルぐらいある巨人みたいなやつが来て、生徒たちの前で負けてしまったのです」

「道場破りですか…」

「とても悔しかったですね。生徒のなかには“なんだよ、忍術きかないじゃないか”と辞めていく人もいました。当時の自分の忍術の習熟度では、圧倒的なフィジカルの違いに対応できなかったのです」

「飛び道具でもないと無理ですよ」

「そのときに、大和流のことを思いだしました。フィジカルの差を越えるには大和流が1番の近道、叔父に弟子入りしよう、と。」

「どれくらい前ですか?」

「今から 15 ~ 16 年前です。自分は忍術だけじゃなくキックボクシングなどもやっていたのですが、そうした武術ではタイミングとスピードが重要です。でも、いわばそれをあきらめているのが大和流なのです」

「…あきらめていいんですか?」

「ええ、むしろ脱力することが大事ですね。力を抜き、相手の力を出させないまま倒すのです」

「おわあ!」
…まだ分かったとは言えませんが、強い力に対して、逆に力を抜くことで対応するというのはおもしろいですよね。
脱力をモットーとするのろ猫も、がぜん興味が湧いてきました♪

ちなみに上は、円満さんによる護身術の図解。
コロナ・パンデミックの頃に描かれたそうで、見れば見るほど、圧倒的なフィジカルの差をひっくり返す、大和流の(?)世界観に引きこまれます♪
大和流護身術の世界を体感する
それでは、いよいよ護身術を実際に教えて頂きます。
まず教えて頂いたのは「手解(ほど)き」
相手に腕をつかまれたときに使える護身術です。

はじめに円満先生の図解をみてください。
悪い力士に腕をつかまれた女性が、やすやすとその手をほどき、顔面にピシャリ。
あとはダッシュあるのみです♪
実際に使えるとかなり役に立ちそうですが、本当にこんなことができるのでしょうか?

円満先生にお手本をみせて頂きます。
体格のいい山森さんにガッシリとつかまれた右手。
ふつうは逃れようとして力んでしまいそうですが、
先生は手をひらき、むしろ脱力

軽やかにふりほどいて

ピシャリ!
もちろん寸止めです♪
「それでは、やってみましょう」とわたしたちもトライしますが、
つい、力ずくに腕を引っ張ろうとしたりと、なかなか感覚がつかめません…
「力をぬいて」
「親指をなぞるように」
そんな言葉を頼りに、なんどもお手本に学ばせてもらっていると
あるとき、力に頼っていたときにはみえなかったすきまの存在へと意識が!

相手の親指に沿って腕先をまわしながら、
親指と 4 本の指とのあいだのすきまを狙うように抜きとる感覚が、少しだけわかりました!
…まだ全然できないんですけど(笑)
ちなみに先生は、わたしが両手で力いっぱい掴んだ腕も簡単に抜き取ってしまいます♪

他の技もいくつか教えて頂きました。
写真は「短刀獲り」といわれる護身術。
円満さんのお相手は、塾生のカンフーマスター・益子さん。
中国拳法にも通じていて、拳法と大和流との違いに触れられながら、身体の動かし方をわかりやすく教えてくれました。
突然始まる円満さんとの武術談義もおもしろいですよ♪

短刀を持った相手を
あっというまに

組み伏せます。
びっくりするくらい軽やかで、やわらかな身のこなし見ていて美しいです!

今度は永沢さんが、円満さん相手にチャレンジ!
いい感じですが、
やられ役にサービス精神がありすぎて、技が決まっているのかどうか、わたしにはよくわかりません(笑)
真剣な稽古のなかにも、つい笑ってしまう楽しさがある「円満塾」
気がつけば、あっというまに終わりの時間でした。
想像以上に学びが多く、自分の知らない「脱力」の世界を体感できたことは、護身だけじゃなく、日々の暮らしにも大いに役立ちそうな予感。
これはハマちゃいそうですね♪
大活躍の永沢さんは、やってみていかがでしたか?

護身術をやってみて意外だったのは、「身体をこう使う」と頭で理解することと、実際にその通り動かせることはまったく別だったことです。
「肘を曲げて」と言われて曲げるような単純な動作ならすぐにできますが、「肘から上は力を入れず、手首だけを回転させるように」と言われると、途端に身体が思うように動きません。
ところが、同じ動きを何度か繰り返していると、少しずつ身体がコツを掴んできます。
さっきまでできなかったことが、いつの間にか自然にできるようになる。その「身体で分かっていく」感覚が面白かったです!
アタマじゃなく、身体で分かるって大事ですよね。
なにより、とても楽しい 90 分でした!
ぜひまた参加させてください~
「大和流円満塾」は毎週日曜日、朝の 8 時 30 分から 10 時まで日ノ出町の「横浜マッセレンタルスタジオ」で開かれています。
体験は無料。
参加費は1回 1000 円で、単発の参加 OK。
女性や未経験者も大歓迎とのことなので、興味のある方は、円満さんの Instagram(@shozans_gallery)の DM またはメール(yabuninja@gmail.com)より連絡してください。
ちなみに円満さん、次回の「六角橋ととと市」(11 月 1 日)でも「にゃん土」の展示・販売を予定されているそうなので、気になる方は、わたしに買われる前に足を運んでみてくださいね(笑)

この記事を書いたひと
のろ猫
六角橋の魅力に惹かれて移住してきました。
普段は人の姿をして、本屋などに出没します。
ゆっくりとした歩行者の視線で記事を発信しますので、よろしくお願いします!


