
こんにちは、子どもの頃から本が好きなゆりです。
「エルマーの冒険シリーズ」や「モモ」には、大変お世話になりました。
そんな本好きの私。
六角橋ナビのエリア内にある「bookpond」さんにも、時々ふらりと立ち寄っています。
そんなbookpondさんが、この夏で開店1周年を迎えました。
今回は店主の小池真幸さんに、この1年を振り返って感じていることや、お店づくり、本のこと、これからのことまで、いろいろとお話を伺いました。
1周年を迎えた「bookpond」

――1周年おめでとうございます。振り返ってひとことお願いします。難しければふたことでも大丈夫です(笑)。
ありがとうございます。
あっという間だったなって感じです。
特に去年の開店直前は本当に大変だったんですけど、それから一年も経ってないような感覚で。
がむしゃらにやってたら一年経ったって感じかな。
感慨深さはなくはないですけど、それよりも必死って感じです。
――以前あったブックカフェはるやさん跡地に再びブックカフェができて、個人的に嬉しかったです。これからも長く続けていただけたらと思っています。
自分の中では10年続けようって目標があるので、そこからすると1/10なのでまだまだって感じで。
最初の一歩って感じです。
――編集のお仕事とbookpond、二足のわらじを履いてみて、大変だったこと、楽しかったことを教えてください。
大変だったことは、物理的な大変さです。
最初の半年くらいはアドレナリンというか、お祭り気分でいけたんです。
けれど、週3日、4日ってなるとやっぱり大変だなと。
基本的に休みも取れないですし、これずっとは無理だなと。
今はスタッフに入ってもらえるようになって、物理的な大変さは緩和されたかなと。
その分もっと稼がなきゃいけないので、空いた体でいろいろ考えなきゃなって感じです。
楽しいことは結構たくさんあって。
普通にお店をやる楽しさはありますね。
普段の仕事では、まちの方々と一対一で向かい合うことってなかなかないので、単純にそういう楽しさはありますし。
人との会話とか、いろんな人が来るのを見たり、勉強しているのを見るのが楽しいです。
本好きだけの場所にはしたくない

――bookpondさんは、なんとなく居心地が良いなと思っているんですが、何か秘密とかありますか?
間口を広くして、いろんな人に来てもらいたいと心がけています。
そして、お客さんには好きに過ごしてもらいたいなっていうのがあって。
別に本を買わなくても良いし、自分の持ってきた本を読んでもらっても良いし、仕事の帰り際にちょっと一杯飲みに寄ってもらっても良いし。
本が好きな人にも来ていただけるのは大歓迎なんです。
けれど、本好きの人だけが集まる場所になっちゃうとハードルが少し高くなっちゃうと思うので、そういう雰囲気にはあまりしたくないんです。
いろんな人が気楽に来てくれると嬉しいので。
特定の「こういう人じゃないとダメ」というのは、できるだけ作らないよう心がけています。
小池さんが選ぶ、bookpondの本


――bookpondさんは、どんな基準で本を選んでいますか?
本は僕が主に選んでいて、スタッフが選んだものも一部置いてあります。
僕が読んで面白かったもの、僕が面白そうだなって思うもの、この2種類をご用意しています。
人文系の硬めで学問っぽい本が多いです。
けれど、学問をする人のためっていうより、日頃の暮らしの中で何かモヤモヤしてることにヒントを与えてくれたり、自分の世界の見方が変わるような本を置けたら良いなって思って選んでいます。
そういう意味では、エッセイも哲学も同じかな、と思っています。
哲学の本を読んで難しいことを考えられるとか、頭が良くなるためにっていうんじゃなくて、自分の身近にあるものの捉え方が変わるような本を置けたら良いなと思っています。
――人気の本と、小池さんのおすすめ本を教えてください。
●『バラバラな世界で共に生きる:リチャード・ローティの哲学』著者/朱喜哲
哲学者のリチャード・ローティの考え方を、すごくわかりやすく解説した本です。
「みんなと分かりあう」ことが難しい中で、それでもどうすれば一緒に生きていけるのか。そんなことを考えるきっかけをくれる一冊です。
著者の方はうちで何度かトークイベントに出ていただいたこともあるんです。
よく売れている本の一つですね。
●『酒場の君』著者/武塙麻衣子
こっちは、さまざまな酒場を一人で飲み歩いた様子を書いた本で。
すごく上品な文章で書かれていて。横浜の人なんですよ。
横浜や川崎の店が出てたりして、白楽の店も出ています。
●『はじめてたこ焼きを食べた日のこと』著者/生湯葉シホ
こっちは、うちのイベントに何度か出ていただいてる方の本なんです。
著者はアレルギーがあり、30代までたこ焼きを食べたことがなかったそうです。
ある時、友人に誘われたことをきっかけに、初めてたこ焼きを作ることになって。今まで家のそばにあって見過ごしてた個人でやってる魚屋さんでタコを買って……。
こうやって聞くと普通のことなんですけど、ちょっとした「初めて」を経験することで、自分の世界が広がっていくんです。
それは大層な資格を取るとかじゃなくて、たこ焼きを食べてみるとか、急に1人でタンゴを見に行ってみるとか。
そういうちょっとしたことで人生が豊かになって、ちょっとだけ苦しさから解放されたりすることもある。みたいな。
気楽に読めるけど、自分の生き方を変えさせてくれるようなエッセイがいろいろと詰まっている本です。
これもよく売れています。
体験の豊かさとか、美しさとか、いろいろと書かれています。
●『よいこのための二日酔い入門』著者/三田三郎
「とにかく楽しい本です。ちょっとタイトルも意味わかんないじゃないですか(笑)」と小池さん。
著者の三田三郎さんは、お酒をこよなく愛する歌人。
お酒や酔うことについて、ユーモアを交えながら独自の視点で綴ったエッセイ集です。
小池さんによると、お酒を飲む自分自身を、あの手この手を使って、どこか小難しく、大袈裟に肯定していくところが面白いのだそう。
「ダメなところを肯定してくれる本で、ただただ楽しい本です」
お酒が好きな方にも、楽しく読んでもらえるのでは、とおすすめしてくれました。
●『me and you little magazine vol.1 特集:愛も生活も、たよりないから』編集/野村由芽・竹中万季(me and you)
これはWebで展開された同名の特集をベースに、多数の書き下ろし原稿やエッセイ、漫画、部屋紹介などを加えて一冊にまとめられたライフ&カルチャー雑誌で、創刊号なんですけど。
大きな主語ではなく、「あなたと私」くらいの距離感で、できるだけ語りかけるように書かれている雑誌です。
愛とか生活って、誰しもうまくいかないこととか、分からないことってあると思うんです。
うまくいかない前提で、正解もないけど、どうやってうまく折り合いつけていけば良いんだろうっていう内容です。
身近な愛とか生活とかを、学者やアーティストなどのいろんな人があれこれと喋ったり、書いたり、考えたりしていて。
ものすごく小さい字なんですけど、文章量もすごいので、お得だとも思います(笑)。
身近な人との関係や生活とか、そういう部分にモヤモヤしている人は何かヒントがある。
そんなちょっとした宝石箱みたいな本だと思います。
愛と生活って、大なり小なり悩んでる人が多いと思うので、何かしらヒントになったり、勇気づけられることがあると思います。

おすすめのドリンクを伺ったところ、ジンジャーエールをご提案いただき、早速オーダーしました。
メニューには「辛口」と書かれていましたが、生姜の爽やかな辛みで、甘党の私も美味しくいただきました。
実はリピートしています(笑)。
猫ちゃんグラスもキュートです。
一棚書店やイベントから広がるつながり

――一棚書店「booktope」という文化交流の場がブックカフェにあるのが素敵だなと思うんですけど、どんな風にアイデアが湧いて実現に至ったのでしょうか?
一棚書店をやっている本屋さんはほかにもあったので、選択肢の一つとして考えていました。
同じ白楽にある「コトコト商店(仮)」さんもされていますよね。
いろんな人の表現を見てみたい、という思いもあって始めました。
皆さんいろいろと個性があって。
自分が選んでいるのとは違う色が出ていて、それは僕も楽しいですし。
一棚書店は、家にあって気に入ってるんだけど人にも読んで欲しい本を売る、っていう人が多いです。
自分で作ったZINEを売ってる人もいますけど、みんながそういうわけではないんです。
――六角橋は文化的なイベントが活発という印象があります。bookpondさんでのイベントの発案は小池さんがされているのでしょうか?
最初は全部自分で企画してました。
今は自分で企画するだけではなく、「一緒にこういうことをやりませんか?」と声をかけていただいて、一緒に考えながら形にすることもあります。
必ずしも僕が全部考えてるわけじゃないんです。
自分で考えるのがまだ多めではあるんですけど。
――8月8日に開催された「熱燗ナイト」は、どういう経緯で決まったんですか?

本がきっかけなんです。
この『あつかんオン・ザ・ロード』っていう本の著者と開催するイベントで。
3月にも1回やったんです。

著者のDJ Yudetaroさんは、日本全国どころかパリでも熱燗を飲む人で、旅のエッセイも書かれています。
この人はDJというのもあって、新しい音楽や面白い音楽に造詣が深い人なんです。
熱燗って、若者よりもおじさんが飲むお酒ってイメージがあると思うんです。
でも熱燗って面白いんですよ。
あっためることによってお酒のいろいろなポテンシャルが引き出されるし、それによって食事とのペアリングっていう可能性もあるし。
“おじさんが飲む保守的なお酒”じゃなくて、アートみたいなお酒として熱燗を捉えて書かれた本なんです。
でも実際に飲んでみないと分からないってことで、DJ Yudetaroさんが燗をつけてくれて、一緒に熱燗を楽しんでみましょうって会を3月に一回やって。
その時に結構盛り上がって好評だったので、またやりましょうってなって。
今度は逆に、絶対に熱燗を飲まないような真夏にやったら面白いんじゃないかってことで、第2回目は真夏の熱燗ナイトです。
取材時にお話を伺っていた「真夏の熱燗ナイト」は、8月8日に開催されました。
本から始まって、著者に会い、実際にその世界を味わってみる。
こうしたイベントも、bookpondさんならではの楽しみ方のひとつなのかもしれません。
bookpondの1年が一冊の本に
――小池さんが本を出されるとのことですが、六角橋ナビの読者さんにもご紹介いただけますか?
基本的には、この店を立ち上げるに至った経緯や、実際に立ち上げてみてどうだったのかを書いた本です。
立ち上げる前はnoteに毎週書いていたので、それをまとめた形で結構細かく書かれていて。
それに加えて、なぜ自分がこの店をやっているのか。
本がどんどん売れなくなっている時代に、書店にはどんな意味があるのか。
そんなことも真面目に考えて、たっぷり加筆しています。
立ち上げの経緯はリアルタイムで書かれているので、一つの冒険譚みたいな面白さがあるかなと。
うちを代表する本ではあるので、記念に購入してもらえると嬉しいです。
――興味を持った六角橋ナビ読者さんにあてて、購入方法をご紹介ください。
現在、ネットショップと店頭で予約を受け付けています。
お店にいらした際は、僕やスタッフにお声がけください。
発売されたら、お店の目立つところに並んでると思います。
8/31発売開始ですが、8/28(土)からは先行販売としてbookpond店頭に並び始める予定です。
もしご近所でしたら、その頃いらして購入されるのが一番良いかなと思っています。
――最後に、六角橋ナビ読者さんにメッセージをお願いします。

本をそんなに読んでない方も、お茶やお酒を飲みに来られる方も、歓迎します。
気楽な感じでお店を見に来てもらえると嬉しいです。
インタビューではいつも緊張してしまうのですが、小池さんはとても分かりやすく本を紹介してくださるので、話を聞いているうちについつい興味をそそられてしまいました。
個人的にも、いくつか読んでみたい本が見つかってホクホクしています。
こちらは7月25日に発売された7人の書き手によるエッセイ集で、小池さんも寄稿されています。
そして、ジンジャーエールも本当に美味しいので、私からもおすすめしたいです!
生姜の爽やかな辛みが、暑い日にぴったり。
実はすでにリピートしています(笑)。
本を探しに行くのはもちろん、お茶を飲んだり、ちょっと一杯楽しんだり。
「本屋さんだから」と構えず、ふらりと立ち寄れるのもbookpondさんの魅力なのだと思います。
1周年は、10年という小池さんの目標からすると「まだ1/10」。
これからこの場所で、どんな本や人との出会いが生まれていくのか楽しみです。
書店など「bookpond」
住所:横浜市神奈川区白楽103 松尾白楽第二ビル 2階
営業日/営業時間:
・火・水:17:00-22:00(夜の書店)
・土・日:14:00-20:00
※8月はサマータイムで13-19:00ではなく14-20:00。1時間後ろ倒しになっているのでご注意ください
Instagram:https://www.instagram.com/bookpond_hakuraku/
X(旧Twitter): https://x.com/bookpond_
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この記事を書いたひと
ゆり
六角橋での文化的な活動のアクティブさに魅力を感じ、お散歩しています。
大の甘党でチョコレート派閥に属しておりますが、お茶やコーヒーも大好き。
ちなみにカレーも甘口派です。
よろしくお願いします。


