親松の湯看板
上麻生道路沿いに見える看板と煙突

六角橋のまちを歩いていると、ふと目に入る大きな煙突。

その存在に気づくと、「あ、親松の湯だ」と思わず安心する人も多いのではないでしょうか。

商店街や住宅街に溶け込みながら、長くこのまちの日常を見守ってきた銭湯。

派手さはないけれど、変わらずそこにある——そんな安心感が、この場所にはあります。

あと3年で創業100年を迎える老舗銭湯「親松の湯」。

今回は、3代目の堀正義さん、そして4代目として家業を支える真樹さんにお話を伺いました。

はじまりの物語と移転の歴史—上麻生道路とともに歩んできた時間

親松の湯外観
入り口は上麻生道路から少し入った路地

親松の湯のはじまりは、現在の場所ではありませんでした。

祖父の代に「うらしま湯」という銭湯を引き継ぎ、昭和4年ごろ、上麻生道路沿いで新たなスタートを切ります。

しかし戦後間もない昭和28年頃、道路整備のため立ち退きとなり、現在の場所へと移転。

上麻生道路は、当時の米軍施設(瑞穂ふ頭~岸根公園)を結ぶためにつくられた道でもあり、その影響で沿道の建物はすべて移転したのだそうです。

今でも周辺の敷地が少し斜めになっているのは、その頃の名残。

まちの変化とともに、場所を移しながらも続いてきた銭湯です。

名前に込められた想いと、今も残る庭と錦鯉の風景

親松の湯外観

「親松の湯」という名前は、家族の名前から生まれました。

祖父・新治郎さんと祖母・マツさんの名前を合わせ、「新松の湯」とする案もあったそうですが、より親しみやすくと「親松の湯」に。

その名の通り、どこかやさしい響きが印象に残ります。

親松の湯外観
入り口の松がシンボル

親松の湯の入口には立派な松の木があり、これは3代目・正義さんが生まれた頃からあったもので、親松の湯のシンボル的存在です。

親松の湯の庭
男湯から見える庭の鯉

また男湯の窓から見える池では、錦鯉がゆったりと泳いでいます。

もともとは露天風呂にする予定でつくられたというこの池。

祖父の故郷・新潟から持ち帰った鯉が、世代交代をしながら今もこの場所で静かに時間を重ねています。

朝の仕込みから深夜の掃除まで—銭湯を守る日々の積み重ね

温度の違う2つの浴槽

一日のはじまりは、朝10時の仕込みから。

お湯を入れ替え、約1時間で浴槽いっぱいに溜め、その後開店する14時半までにじっくりと温めていきます。

営業が終わる23時以降も仕事は続き、浴室の清掃は深夜2時頃まで。

すべてを終えて休むのは、3時近くになることもあるそうです。

毎日同じことを丁寧に繰り返すこと。

その積み重ねが、清潔で気持ちのいい空間を支えています。

高い天井とやさしいお湯—どこか懐かしく、心地よい浴室

高い天井は「格天井」と呼ばれる圧巻のつくり

更衣室に入ってまず目に入るのが、なんといっても寺社仏閣のような高い天井。

「格天井(ごうてんじょう)」と呼ばれる伝統的なつくりで、開放感のある空間が広がります。

レトロな雰囲気が心地よく残る館内ですが、隅々まで丁寧に掃除が行き届いていて、清潔感があるのも印象的。

思わずほっとするような、安心して過ごせる空間です。

浴室には温度の異なる2種類の浴槽に加え、秋田・玉川温泉の北投石を用いたラジウム浴泉、そして日替わりの薬湯。

ラベンダーやよもぎ、ひのきなど季節や日によって変わる湯は、訪れるたびに違った楽しみがあります。

男湯には約3年前に拡張された水風呂もあり、100度近いサウナと合わせてしっかり“ととのう”こともできます。

人が集まり、つながる場所に—地域にひらかれた銭湯として

お風呂セット
神大駅伝部のお風呂セット

開店と同時に訪れる常連さんたち。

商店街の方や近隣の住民に加え、地元神奈川大学・駅伝部の学生やボクシングジムの選手など、スポーツ関係者の姿も多く見られます。

瓶入り飲料
銭湯と言えば!の瓶の牛乳

お風呂あがりには、瓶の牛乳を片手にひと休み。

自然と会話が生まれる、そんな空気がここにはあります。

ただ体を温めるだけでなく、人と人がゆるやかにつながる場所。

それもまた、銭湯の大切な役割なのかもしれません。

子育て世代にもやさしく—親子で通いやすい取り組みいろいろ

入浴料は神奈川県の統一料金で、大人570円。

小学生(中人)や未就学児(小人)の料金も設定されています。

さらに、中学生の割引や、小さなお子さんの無料対応など、子育て世代にうれしい取り組みも。

第2・第4日曜日には「親子ふれあい入浴デー」も開催され、家族で訪れやすい工夫がされています。

気軽に立ち寄れる“手ぶらセット”があるのも、うれしいポイントです。

100年へ向けて—次の世代がつなぐ、これからの親松の湯

親松の湯 店内
開店時に送られた書。横に読むと「親松の湯」

2026年にはタイルの交換やペンキ塗装などの大規模な修繕を行い、館内もリフレッシュ。

長く続く場所でありながら、少しずつ時代に合わせた変化も重ねています。

4代目として関わる真樹さんは、別の仕事をしながら中小企業診断士として家業を支える存在。

「ここは、なんだか落ち着く場所。

人が自然と集まって、つながる空間を提供できるのが銭湯の良さだと思っています」

と話してくれました。

あと3年で迎える創業100年。

これからも、まちに寄り添う場所であり続けてくれそうです。

店舗情報

入浴料金

  • 大人(中学生以上):570円
  • 小学生(中人):250円
  • 未就学児(小人):130円

割引・サービス

  • 中学生:学生証提示で100円引き
  • 未就学児(小人):保護者同伴で2名まで無料
  • 親子ふれあい入浴デー(第2・第4日曜)
     → 大人1名につき子ども最大4名まで無料
      ※小学生(中人)2名と未就学児(小人)2名まで

その他

  • 手ぶらセット(入浴料込み):700円
  • サウナ(男湯のみ)
  • 日替わり薬湯あり
  • コインランドリー併設

親松の湯

住所:横浜市神奈川区六角橋2-15-5

営業時間:14:30〜23:00

定休日:毎週水曜日、ほか不定休あり
※Instagramやホームページ、店頭でご確認ください

ホームページ:https://k-o-i.jp/koten/shinmatsunoyu/

Instagram:https://www.instagram.com/shinmatsu.no.yu/

5/5(火)㊗には、毎年菖蒲湯が提供されます。

子どものための特別な日に銭湯で菖蒲湯につかり、子どもの成長を祈りつつ、日本の古き良き伝統を心ゆくまで味わってみませんか?

保護者同伴の小学生以下のお子様無料!

中学生は、学生手帳提示をする事で、100円の割引となるそうですよ。

また、4/21~9/23までの期間、横浜市内の銭湯のスタンプラリーが開催中です。

ウォーキングやランニングの拠点としての利用もおすすめです。

広いお風呂にゆっくり浸かり、少し肩の力を抜く。

そんな時間を過ごしに、「親松の湯」を訪れてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたひと

あっきー

神奈川区在住。

22歳の娘と20歳の息子、夫の4人暮らし。

おいしいものやたのしいことなどのオススメ情報をオススメするのが好きです。

2代目編集長🔰